【11月8日 AFP】エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は7日、英週刊誌エコノミスト(Economist)が掲載したインタビューで、北大西洋条約機構(NATO)が「脳死」に至っていると発言した。これを受け、加盟国の間ではNATOの真価をめぐる議論が勃発。独米はNATOを強く擁護したのに対し、非加盟国のロシアはマクロン氏の発言を称賛した。

 70年の歴史を持つNATOは来月、英国で首脳会議を開催する予定。同誌が掲載した英語の書き起こしによると、マクロン氏はインタビューで「われわれが今経験しているのはNATOの脳死だ」と表明。欧米間の協調欠如や、主要加盟国トルコによるシリアでの一方的な行動を非難した。

 マクロン氏は「米国と他のNATO同盟国の間には戦略的意思決定での協調が全くない」と指摘。「われわれの利害にかかわる地域で、NATO加盟国のトルコが協調を欠いた攻撃的行動に出ている」と述べた。

 しかしアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は、NATOは「必須」の存在であると擁護。マクロン氏の「十把一からげの批判」は「不要」と述べた。

 訪問先のベルリンでメルケル氏と共同記者会見を開いたイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)NATO事務総長は、欧米間同盟の弱体化は「欧州を分割する」恐れがあると警告。同じく訪独中のマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官も、NATOは「重要で、不可欠」だと述べた。

 一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)報道官はマクロン氏の「脳死」発言について、「最高の言葉だ……NATOの現状についての的確な定義だ」と評した。(c)AFP/ Laurence BENHAMOU and Stuart WILLIAMS