【11月14日 CNS】「うちの店に来られたら、ぜひ『青稞(Qingke、ハダカムギ)ラテ』や『酥油(Suyou、ヤクの乳から作るバター)コーヒー』などのドリンクをお試しください。ここ以外では絶対に飲めませんから」

 1991年生まれのゴンボツァイラン(Gongbaocairang)さんは、中国・青海省(Qinghai)海北チベット族自治州(Haibei Tibetan Autonomous Prefecture)祁連県(Qilian)出身のチベット族だ。2013年に西寧市(Xining)にやって来て、珈琲館で働いた。「そのとき初めて本物のコーヒーを飲んで、そのおいしさに驚いた」という。

 ゴンボツァイランさんは2018年、西寧で珈琲館を開いた。店の内装は伝統的なチベット族のテントをイメージし、材料もチベット的な風格のものを多く使用、コーヒーの味付けにもチベット的な要素を加えた。

「コーヒーという媒体を介して、チベットと青海の文化を伝えたい」とゴンボツァイランさんは話しており、チベット族の伝統的な飲食習慣を紹介するだけでなく、新しいものを加味し、もともと牧畜民の食卓の上にあった日常的な食材を、形を変えて顧客に提供したいと考えている。

「外地からの旅行客が私の店でコーヒーを飲むときに、コーヒーの味は知っているが、『青稞』や『酥油』は食べたことが無い。それらの食べ物を組み合わせるとまたどんな味になるのか、みなさん大いに興味を持ってくれる」という。

 将来について聞くと、ゴンボツァイランさんは珈琲館の経営が安定し、一定の貯蓄ができたら、故郷に戻ってバリスタを育成したいという。故郷の子どもらが外界の文化に接し、視野を広げ、未来を変えて欲しいとの考えだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News