【11月7日 AFP】ロシア反ドーピング機関(RUSADA)のユーリ・ガヌス(Yuri Ganus)所長は6日、世界反ドーピング機関(WADA)に提出されたデータが改ざんされていた疑惑について、国内の権力者による「無責任かつ自殺的な行為」に責任があると主張した。

 ポーランドのカトウィツェ(Katowice)で開かれたWADAの世界会議で、ガヌス所長は各国の代表団に対し、RUSADAが捏造(ねつぞう)された情報によって引き起こされた「危機的状況の人質」にされたと訴えた。

 これに先立ち、同じく会議に出席したロシアのパベル・コロプコフ(Pavel Kolobkov)スポーツ相は、RUSADAとロシア当局がWADAの条件をすべて満たしたと断言。その後、ガヌス所長の発言に耳を傾けていた。

 2011年から15年にかけて行われた国家ぐるみのドーピング違反で主な国際大会の出場を禁止されたロシアは昨年、WADAから資格回復が認められる重要な条件として、検査データの提出を求められた。

 しかし、1月にモスクワの反ドーピング検査所から引き渡された数千件に及ぶファイルと検体の一部には「矛盾」があり、WADAは9月にロシア側にその説明を要求。WADAのコンプライアンス審査委員会(CRC)は、ロシアのドーピングスキャンダルをめぐる今回の疑惑について、今月末までに調査結果をまとめることになっている。

 ガヌス所長は、RUSADAが「データベースやその引き渡しには何も関与していない」と強調した上で、「RUSADA外部の権力」による犠牲者にされたと主張。反ドーピング機関の独立性を保護するために、何らかの処分を下す場合は、「賢明な判断」に基づいてするようにWADAに促した。

 そしてスピーチの最後には、「個人的利益のために、誰もわれわれ(RUSADA)を利用してはならない…。われわれは、組織の独立性を守っていく」と力説して拍手を受けた。

 一方、米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は、ガヌス所長が「政府の意向に沿って」発言しているにすぎないと反発し、「彼はとても慎重に、上司の指示に従って話していると考える」「あれこそまさに政府が望んでいる発言だ」と述べた。

「データが改ざんされていたときの一番もっともらしい言い訳は、自分が独立した立場であり、疑惑とは無関係であると主張することだ」「彼は無関係ではない…。これはゲームであり、うまく仕組まれている」 (c)AFP