【11月6日 AFP】オーストラリア南東部で8月に保護され、犬かキツネの子どもと考えられていた動物のDNA鑑定を行ったところ、珍しいディンゴの純血種であることが判明した。

【写真】オーストラリア固有の動物、ディンゴ

「ワンディ(Wandi)」と名付けられたこのディンゴは、ビクトリア(Victoria)州の田舎町の民家の裏庭で発見された。背中に引っかき傷があったことから、大型の猛禽(もうきん)類にさらわれ、同地に落とされたとみられていた。

 当初犬かキツネと考えられていたワンディのDNA鑑定を数か月後に行ったところ、ディンゴの純血種であることが判明した。野生のディンゴは、程度の差はあれ、犬との混血であることが多い。

 ワンディには、その変わったエピソードと愛らしい姿で世界的な関心が集まっている。豪ディンゴ基金(Australian Dingo Foundation)のリン・ワトソン(Lyn Watson)氏は、ワンディがきっかけとなり、悪評も多いディンゴに対する見方や政策が変わればと願っている。

 ディンゴの分類をめぐる論争も続いている。約4000年前にアジアからオーストラリアに渡ったとみられているディンゴは、野犬だとする考えもある一方、飼い犬とも野犬とも違う特徴を多数持つ独自の種であるとの見解が、現在は大半を占めている。

 ペットや家畜の脅威とみなされることも多い反面、野良猫やキツネなどの害獣とされる動物や、カンガルーなどの野生草食動物の数を抑えるのに役立っている。絶滅が危惧される種として保護する地域もある一方、ディンゴ自体が害獣として駆除の対象にもなっている。

 またまれとはいえ、人気観光地のフレーザー島(Fraser Island)を中心に、人がディンゴに襲われる被害も報告されている。

 ワンディは現在、メルボルンの施設で新生活を送っている。ワトソン氏によると、ディンゴを野生に戻すことを規制する法律により、ワンディは飼育下での生活を余儀なくされる可能性もある。とはいえ同氏は、ワンディがいつか自然の中で自由に暮らせる日が来ればと期待している。(c)AFP