【11月6日 AFP】イタリア・セリエAの規律委員会は5日、前週末に行われたブレシア(Brescia Calcio)戦で一部のファンがFWマリオ・バロテッリ(Mario Barwauh Balotelli)にモンキーチャント(猿の鳴きまね)を浴びせたエラス・ベローナ(Hellas Verona)に対し、1試合のスタジアム一部閉鎖処分を科した。

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 両親がガーナ出身のイタリア代表バロテッリはこの一戦でゴールを挙げたが、ベローナファンのエリアから人種差別の言葉が飛ぶと激高し、その活躍は影が薄まった。試合は2-1でホームのベローナが勝利している。

 セリエAの規律委員会は、人種差別的なチャントは「バロテッリだけでなく、近くにいた連盟関係者にもはっきりと認識された」と発表。そして、本拠地ベンテゴーディ・スタジアム(Bentegodi stadium)の中で約3500人が入るエリアを1試合閉鎖するよう命じた。

 ベローナ側は人種差別を否定したが、ファンがツイッター(Twitter)に投稿した映像では、バロテッリに向けて多くのサポーターがモンキーチャントを浴びせた様子が確認された。

 ブーイングを受けてボールをスタンドに蹴り込んでいたバロテッリは、「俺はエラス・ベローナも、スタジアムのあのエリアも非難しなかった。糾弾したのは、俺の耳に入ってきたことをやった一握りのばかどもに対して。それだけだ」とイタリアのテレビ局にコメントしている。

「もし選手をかき乱したいのなら、他に方法は何千とある。でも、ああいうのではない。ああいったのは間違っている」「もう一度言うが、あの一握りのばかどもだ。ばかなやつらは多くないが、存在はする。人種差別は許されない。これまでも、そしてこれからも絶対にだ」

 この処分に先立ちベローナは同日、バロテッリは「完全なイタリア人」には絶対になれないと発言した過激派サポーター団体のリーダー、ルカ・カステリーニ(Luca Castellini)氏に2030年6月までの出入り禁止処分を科したと発表した。

 カステリーニ氏は4日、ラジオ局のインタビューで「バロテッリはイタリア国籍を保有しているからイタリア人だ。だが、彼は完全なイタリア人には絶対なれない」と発言。また、ベローナのファンが人種差別主義者であるかと問われると、「うちのチームにも黒人がいる。きのうも得点を決め、ベローナ全体が拍手を送っていた」と答えた。

 イタリアのANSA通信によれば、ベローナ当局はカステリーニ氏の発言に関して、「人種差別的な憎しみを助長した」罪に当たる可能性があるとして調査を始めたという。(c)AFP