【11月6日 AFP】イエメン南部の主要都市アデン(Aden)をめぐり争っていた暫定政府と同国南部の分離独立派は5日、サウジアラビアが仲介した権力分担協定に調印した。

 国際社会が支持するイエメン暫定政府は2014年、イランの支援を受けた反政府武装勢力フーシ派(Huthi)に首都サヌアを追われ、アデンに拠点を移したが、今年8月に南部分離独立派「南部暫定評議会(STC)」を中心とする「安全ベルト部隊」に同市を奪われた。フーシ派との戦いで共闘関係にあるSTCと暫定政府が衝突したことで、イエメンが完全に分裂する懸念が生じていた。

 協定は両者の間にくすぶる対立に終止符を打つことを目的としたもの。サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)の立ち合いにより同国首都リヤドで調印が行われ、その様子はテレビ中継された。

 当局とサウジメディアによると、協定の下、STCは複数の閣僚ポストを獲得し、暫定政府は主要都市アデン(Aden)に戻る。

 国連のマーティン・グリフィス(Martin Griffiths)イエメン担当事務総長特使は協定締結に祝意を示し、これによりイエメン内戦全体の終結に向けた取り組みが加速すると表明。「南部の利害関係者に耳を傾けることは、国内の平和の実現に向けた政治的取り組みにとって重要だ」と述べた。

 サウジ主導の連合軍は、フーシ派がアデンに迫った2015年にイエメン内戦に介入した。アラブ首長国連邦(UAE)は連合軍の主力を担う一方、南部分離独立派に支援や訓練を提供してきた。(c)AFP/Anuj Chopra