【11月3日 東方新報】昨年春に正式始動した退役軍人事務部は今秋、全国的に退役軍人の再就職および自主創業の支援活動を展開している。先月28日に中国・広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)で開催された海峡西岸経済区の退役軍人を対象とした大規模な再就職・創業説明会では、およそ3000人の退役軍人に対して1万3000人の雇用の選択肢が用意されていた。

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 この再就職・創業説明会の特徴は、オンラインとオフラインをセットにしていることで広東省、福建省(Fujian)、江西省(Jiangxi)の企業をネット上で募集し、広東省退役軍人就職創業サービスシステムを使って、実際の退役軍人とのより正確なマッチングサービスを行い、さらに会場で企業と再就職希望の退役軍人の面接を行うという方式だ。

 世界500強企業を含む国有企業や、民営など120の著名企業の人事担当者が集まり、退役軍人たちの希望や技術、資質を幅広く審査し、IT技術や行政管理、エンジニア職など幅広い職業選択肢を提示したという。

 会場では同時に広州市退役軍人就職創業研修基地の開所式も行われ、創業指導を行う講師陣も参加した。さらに広東省退役軍人創業コンテストの始動が正式に発表され、優秀な退役軍人による創業計画を発掘し、支援するという。コンテストは10月から12月の期間、ハイテク産業、郷村振興、総合の3分野に分かれて、3回戦勝ち抜きで選ばれた優秀な創業計画に対しては資金、そのほかの支援が与えられる。

 広東省退役軍人事務庁によれば、省の党委員会と政府は第18回党大会以来、退役軍人就業創業工作におよそ12億元(約184億円)の財源を投入し、10万人の退役軍人に対して研修を行い、納税や金融方面でも優遇政策をとり、退役軍人の再就職の安定や自主創業を促進してきたという。

 このほか、河北省(Hebei)保定市(Baoding)では市、県、村の3つの行政レベルで退役軍人サービスセンターを開設。市センター1か所、県センター22か所、郷センター285か所、村センター5567か所で、退役軍人の就職支援や権益保護の相談、心理コンサルタント業務まで幅広い支援を行うという。また退役軍人基金を設立し、目標額を5000万元(約7億6652万円)として募金を開始した。湖南省(Hunan)や四川省(Sichuan)では、この秋から退役軍人に対して大学入学機会を用意するなどの支援を実施している。

 退役軍人は2017年段階で累計5700万人、その生活の安定化が中国社会の安定にかかわる重要テーマとなっていた。この問題を解決するために設立された退役軍人事務部では、保障や権益保護、再就職支援工作などを推進。特に安定した再就職先へのマッチングは、各地方単位でさまざまな試みがなされている。

 昨年度の統計では、再就職した退役軍人の44%が3か月以内に再就職できたが、26%が再就職に1年以上かかっている。給与水準は月収3000元(約4万6000円)から5000元(約7万7000円)が再就職者の37%を占め、1000元(約1万5000円)から3000元が32%を占めた。71%が給与水準に不満を持っているという。ただ再就職先を見つけるだけでは、退役軍人問題の真の解決とはいかないようだ。(c)東方新報/AFPBB News