【10月30日 AFP】ウクライナ疑惑をめぐるドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の弾劾調査で、ホワイトハウス(White House)の国家安全保障会議(NSC)のメンバー、アレクサンダー・ビンドマン(Alexander Vindman)中佐が29日、下院委員会で非公開の証言を行った。今回の弾劾調査で政権高官が証言したのはビンドマン中佐が初めて。

 民主党主導で行われている弾劾調査は、トランプ氏が4億ドル(約440億円)相当の軍事支援を実施する条件としてジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領親子の捜査を行うようウクライナ側に求めた疑惑を追及している。

 事前に準備した文書の中でビンドマン中佐は、トランプ氏が7月25日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領と行った電話会談の際、ゼレンスキー氏に圧力をかけているのを聞いたと述べた。この電話会談が弾劾調査の引き金となった。 

 ビンドマン中佐は「外国政府に米市民の捜査を求めることが適切だとは思わなかったし、米政府のウクライナ支援に与える影響も懸念した」「ウクライナがもしバイデン親子とブリスマ(Burisma、バイデン氏の息子ハンター〈Hunder Biden〉氏が重役を務めたウクライナのエネルギー企業)の捜査を開始すれば、党派的な行為と受け止められると認識した」と述べた。

 28日夜に明らかになっていたビンドマン中佐の証言内容は、トランプ大統領が来年の大統領選に向けて職権を乱用し、選挙関連の法律に違反してウクライナ政府の支援を得ようとしたという今回の疑惑で、これまでになされた最も有力な証言だと言える。イラク戦争(Iraq War)での負傷でパープル・ハート勲章(Purple Heart 名誉戦傷章)を受章した現役の政権高官であるビンドマン中佐の証言は、これまでの政府関係者による証言に比べて共和党側が退けることがはるかに困難だ。(c)AFP/Paul HANDLEY