【10月29日 AFP】広島大学(Hiroshima University)などの研究チームがこのほど、ジンベエザメの口の中に住む新種のヨコエビを発見した。ヨコエビはジンベエザメにちなみ「ジンベエドロノミ(学名Podocerus jinbe)」と名付けられた。ジンベエザメの口の中が生息場所として快適だったと考えられるという。

 ヨコエビは甲殻類の一種で、ミジンコなどが含まれるグループに属し、高山から深海までさまざまな環境で生息できる高い耐久力を持つ。だが、今回の研究を率いた広島大学の富川光(Ko Tomikawa)准教授は、ヨコエビが動物の口腔内に生息しているのを発見し、驚いたと話す。

 ジンベエドロノミの体長は約5ミリで茶色く、足には毛が多く生えている。この毛は餌となる有機物質の捕獲を助ける。

 富川准教授は、ジンベエザメの口の中は、呼吸のために新鮮な海水が一定の間隔で取り込まれており、それとともに餌も入って来ることから、ジンベエドロノミにとって優れた生息環境となっているのではないかと指摘する。さらに、天敵がいない安全な場所でもあるという。

 今回、富川准教授が沖縄県南部の水族館から連絡を受けジンベエザメを調べたところ、新種だと分かった。このジンベエザメの口の中からは約1000匹のジンベエドロノミが見つかっている。(c)AFP