【10月29日 東方新報】日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の国際映画祭である「東京国際映画祭(TIFF)」のコンテンツ産業展(TIFFCOM)が東京・池袋で開催され、その中で22日に「CHINA DAY」が初めて実施された。近いうちに米国を追い抜き「世界第1位の映画市場」となるとみられている中国で、日本映画の関係者がどのような機会を得られるかなどについて、中国と日本の映画・テレビ業界の関係者によるパネルディスカッションが行われた。

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 パネルディスカッションでは、日本と中国の映画・テレビ業界で活躍する顧暁東(Gu Xiaodong)プロデューサーが司会進行を務め、石井裕也(Yuya Ishii)監督、張一白(Zhang Yibai)監督、松竹(Shochiku)・グローバル事業部の野地千秋(Chiaki Noji)中国室長が、さまざまな問題について語り合った。

 まず顧プロデューサーが冒頭のあいさつで「映画制作は国内にとどまらず、国境を超えたストーリーを描く作品が増えている。映画を通じて、中国と日本の関係が発展する」と口火を切ると、張監督は「中国人の映画製作者たちは、日本語を聞いてもわからないが、読んでわかる。たくさんの日本の映画・ドラマ・漫画に小さい頃から触れてきて、たくさんの日本映画の文化を吸収してきた」と話した。

 一方、松竹の野地室長は「中国で何度も映画制作をしてきたが、日本との文化の違いを感じてきた。文化の異なる映画関係者が集まって映画を作っていくには、もっともっと触れ合いを増やし、相手の文化を理解しなければならない」と語った。

 石井監督は「昨年、日中両国政府の間で『日中映画共同製作協定』が結ばれた。これからの時代、小さな日本だけで映画を作っていても仕方がない。共同製作の交流を重ねていくことで、お互いの分かり合えないことを分かり合えるようになる」と述べた。

 日本の映画市場は長年、米国に次ぐ世界第2位を維持してきたが、2011年に中国に抜かれた。中国市場は1兆円に達する勢いとなり、2018年には日本市場のおよそ5倍の規模となった。近いうちに米国市場の1兆2000億円規模を追い越すとみられている。

 中国には業界関係者の間で「スクリーンクオーター制度」と呼ばれる「自国映画以外の作品の上映を制限する制度」がある。日中両国政府は「日中映画共同製作協定」を2018年に結び、共同製作の映画を増やしていきたいと考えている。共同製作された映画は中国作品となるので、上映数制限のジレンマから解放され、中国内の一般人の関心を引きやすくなり、収益向上が期待できる。中国は日本以外に、英国やフランスなどと同様の協定を結んでいる。

 このイベントでは、上海市広播影視制作業行業協会(SFTPA)の于志慶(Yu Zhiqing)副会長もスピーチを行い、「上海の映画ロケ地の候補地189か所の風景を、拡張現実(AR)で見られるようにしています。リストにはそれぞれの候補地の担当者の連絡方法も載せています」と紹介し、「担当者は、外国から来られる映画製作者の衣食住のすべてをサポートします。一緒に映画を作りましょう」と述べた。

 野地室長に、外国の映画関係者に対して日本でも同じような情報提供をする仕組みがあるのかと聞いたところ、「もちろん、映画関係者に問い合わせてもらえれば親切に教えますが、ARの情報提供まではないですよ」と答えた。

 会場を案内してくれた中国人のイベント関係者は、「日本の大学には映画製作のサークルがたくさんあるが、このサービスを使うといいですよ。日本人と中国人の恋愛映画など、たくさんの映画を製作していく中で、日本と中国の関係がもっと発展します」と語った。

 22日夜には「CHINA DAY」のイベントに訪れた日中の映画・テレビ業界関係者が集まるパーティーが開かれた。関係者によれば、こうした日中の交流が映画業界の中で増えているという。(c)東方新報/AFPBB News