【10月28日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、イラク北部モスル(Mosul)を制圧してから5年、米国はISの最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者の殺害を発表した。2017年までの3年間、ISの支配にあったモスルの住民はこの知らせを受けて安堵(あんど)しており、一部からは「盛大なパーティー」を開いて祝うべきとの声も上がっている。

 バグダディ容疑者は2014年6月、モスルでシリア・イラク両国にまたがるIS支配地域での「カリフ制国家」樹立を宣言した。以降、一連の暴力が始まり、数千人が死亡、数万人が避難を余儀なくされ、モスルを含む域内の町は破壊された。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は25日、米軍の特殊部隊によるシリア北西部での急襲作戦でバグダディ容疑者を殺害したと発表した。

 モスルに住む37歳の男性は「モスルの人々は盛大なパーティーを開くべきだ」「殺りくを繰り返した犯罪者バグダディは、みんなを虐殺した」と苦々しげに語った。

 バグダディ容疑者は1971年、イラクのサマラ(Samarra)に生まれた。本名はイブラヒーム・アッワード・アル・バドリー(Ibrahim Awad al-Badri)だが、ISで最高指導者まで上り詰める間にアブバクル・バグダディと名乗るようになった。

 2014年にISがモスルを制圧するとバグダディ容疑者は初めて公の場に姿を現し、カリフ制国家について言及したのだ。

 支配地域でISは、厳格に解釈した「シャリア(イスラム法)」を導入し、音楽や喫煙を禁じた。シャリアに違反したと見なされた場合は、公開斬首など残酷な刑罰を科した。

 ある男性(54)は、ISのせいで発作が3回起きたと話し、「自宅を失い、車も燃やされた」と続けた。

 またある女性は、バグダディ容疑者によって「日々の生活が地獄と化した」と訴え、「ISの攻撃を受けなかった家はない。虐げられなかった家もない」と述べた。「これはお祭り。彼は全イラク人(の生活)を破壊したのだから、私たちにとってこれはお祭りだ」