【10月26日 AFP】(更新)英南東部エセックス(Essex)州で、トラックから39人の遺体が見つかった事件をめぐり、英警察は25日、新たに3人を逮捕したと発表した。またベトナムの治安筋は、犠牲者の中にベトナム人が含まれている可能性があるとしている。

 トラックの冷蔵コンテナ内で23日に発見された犠牲者は、女性8人、男性31人の計39人とされる。警察は当初、犠牲者は全員中国人とみられるとしていたものの、25日になって、身元確認により「状況が変化する可能性」があると明かした。

 あるベトナム人男性はAFPに対し、26歳の家族が犠牲者の中に含まれている恐れがあり、死の直前に胸を引き裂かれるようなメッセージを送っていたと語った。

 この家族が英国に向かうためベトナムを離れたのは今月3日。男性によると、家族からのショートメッセージを受信したのは、英国でトラックが発見されるわずか数時間前だったという。

 在ベトナムの人権団体「ヒューマン・ライツ・スペース(Human Rights Space)」が公開したこのメッセージには「お母さんごめんなさい。私が国外へ向かう道はうまく行かない。お母さん、本当に愛してる! 死にそう、息ができないから」と書かれていた。

 男性はAFPに対し、メッセージは間違いなく家族本人からのものだと話している。

 ただエセックス警察当局は犠牲者の国籍について、「臆測」を巡らせるつもりはないと述べている。

■新たに容疑者3人を逮捕

 同警察は23日、トラックを運転していた北アイルランド人の男(25)を殺人容疑で現場で拘束していた。25日になって、新たな容疑者3人を逮捕したと発表した。

 まずイングランド地方北西部のウォリントン(Warrington)の男女2人(いずれも38)を「人身売買の共謀と殺人の容疑」で逮捕。

 その後、ロンドン・スタンステッド空港(London Stansted Airport)で、北アイルランド人の男(48)を同じく人身売買の共謀と殺人の容疑で逮捕したと明かした。

 今回の凄惨(せいさん)な事件は英国に衝撃を与え、人身売買の危険性を浮き彫りにしている。(c)AFP/Robin MILLARD