■「プライバシーの最後のとりで」である現金に取って代わる

 中国はかつて、ビットコインの拠点となっていた。ウェブサイト「bitcoinity.org」によると、たった2年前には仮想通貨の中国三大取引所であるBTCC、オーケーコイン(OKCoin)、フォビ(Huobi)で行われる取引がビットコインの世界取引の98%以上を占めていた。

 だが、規制対象外の上、当局には見えない暗号資産の取引が政府に受け入れられるはずもなく、2017年に仮想通貨取引所は閉鎖に追い込まれた。

 専門ウェブサイト「Cryptonaute.fr」の編集長スタニスラス・ポゴジェルスキ(Stanislas Pogorzelski)氏は、中国では社会信用制度や顔認証カメラが普及しており、これから導入されるデジタル通貨によって、政府は「これまで以上に国民の行動を綿密に監視できるようになる」と主張。目的は、「プライバシーの最後のとりで」である現金に取って代わらせることだと述べた。

 中国経済を専門とするシンクタンク「マクロポーロ(MacroPolo)」の研究員ソン・ホウズ(Song Houze)氏は、政府が人民元の安定化に躍起になっている中、リブラはビットコイン同様、人民元の「競争相手であり脅威でもある」と指摘する。

 中国にとって、中央銀行が管理する自国のデジタル通貨のシステムは、消費者が望む利便性と、当局が必要とする管理とを兼ね備えたものだ。人民銀行は、現金の使用が減少している時代に合わせて変化していなければならないのだと、ソン氏は語った。(c)AFP/Sebastien RICCI