【10月22日 AFP】ジョン・バーカウ(John Bercow)英下院議長は21日、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相がまとめた英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)協定案について、議会での採決実施を再び求めたジョンソン首相の要請を却下した。今月31日の離脱期限が10日後に迫る中、ジョンソン首相にとって新たな打撃となった。

 議員らは19日、1982年のフォークランド紛争(Falklands War)以来となる土曜の審議で、ジョンソン氏の離脱協定案について、履行に必要な国内法がすべて成立するまで採決を見送ることを決定。離脱の3か月延期をEUに要請することを同氏に強いていた。

 バーカウ氏は、首相が同一会期中に同じ内容の採決を2度求めることは許されていないと指摘。「繰り返しになり、秩序を乱すものとなるため、動議はきょう審議されない」と述べた。

 今後の焦点は、離脱協定案を実施するための国内法案「離脱協定法(Withdrawal Agreement Bill)」について、政府が議員の支持を獲得できるかどうかに移る。同法案の採決結果によりジョンソン氏が今月末までに離脱を実行できるかがほぼ決まるが、情勢はジョンソン氏に不利とみられる。

 野党・労働党は、英国がEU関税同盟内にとどまることを条件にジョンソン氏の案を支持する超党派連合をつくることを目指している。しかし、ジョンソン氏とその支持者らはそれではブレグジットの意義がなくなり、中国や米国などの大国と独自の通商協定を結べなくなると主張している。(c)AFP/Dmitry ZAKS