【10月21日 AFP】英議会の採決延期を受け、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相はやむなく欧州連合(EU)に離脱期限の延長を要請したが、英政府は20日、予定通り今月31日をもってEU離脱(ブレグジット、Brexit)を完了する方針を改めて強調した。

 ジョンソン首相は19日、先に英議会で成立した法律に従い、離脱延期を要請する書簡を欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)宛てに送ったものの、自分の意志に反する内容だとして署名はしなかった。

 さらにジョンソン首相は、ブレグジット延期を望まない旨を表明した署名入りの2通目の書簡を送付。既に2度延期されている離脱期限を「またしても延期すれば、英国とEU諸国の利益を害する恐れがある」と警告した。

 これに加え、ティム・バロウ(Tim Barrow)英駐EU大使が3通目となる書簡(カバーレター)で、離脱延期を要請する書簡を送ったのは法律を順守するためにすぎないと説明していた。

 こうした英政府の対応について、「合意なき離脱」の調整を担当してきたマイケル・ゴーブ(Michael Gove)国務相は、「そうだ。われわれは10月31日に離脱することになっている。われわれにはその手段と能力がある」とスカイニューズ(Sky News)に語り、あくまで予定通り離脱する方針を強調した。

 英政府は、EUと合意した新たな離脱協定案の議会承認に必要な国内法の整備を今週中に進める方針で、早ければ22日にも採決を行う見通し。一方、政府は協定案の承認を問う採決を21日に再度行いたい意向も示しているが、これは議会の手続き上、認められない可能性がある。
 
 ブレグジットが決まった2016年6月の国民投票から3年以上が経過する中、ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相はBBCテレビで、EU加盟国の政府関係者らとのやり取りに言及。「彼らはもう飽き飽きしている。われわれもうんざりしている」と語った。

 EU各国首脳はジョンソン首相の離脱延期要請への対応を検討中。ベルギー・ブリュッセルではEU当局者が協定案承認へ向け準備を進めている。(c)AFP/Robin MILLARD