■島民は国民投票に参加できず

 家族経営の農家が大半を占める食肉業界も、牛肉やラム肉の大半が英国向けとはいえ、著しい影響を受ける可能性がある。

 英国産肉類のEU諸国への輸出が減少すれば、英本土がフォークランド諸島から輸入する肉類の量も削減せざるを得ない。「海外向けの肉の生産が減少すれば、失業のリスクもある」とロバーツ議員は言う。

 フォークランド行政府の推定では、肉類には12.8%の関税の他、100キロごとに155.68ユーロ(約1万9000円)が加算される可能性があり、年間最大30%の赤字が生じる恐れがある。

 英国の海外領土であるフォークランド諸島の住民は、ブレグジットの是非を問う国民投票には参加できなかった。フォークランド諸島は英国本土に属しておらず、従ってEUにも加盟していないが、英国の海外領土として関税同盟の恩恵を受けてきた。

 影響が少ないと思われるのは、関税の対象外であるフォークランド諸島原産の原毛(未加工の羊毛など)だ。だが、ウエストフォークランド島で農場を経営するキース・アレージア(Keith Alazia)さんは、こう話した。「羊毛がまったく影響を受けないという兆しはない」 (c)AFP/Barnaby CHESTERMAN