【10月18日 AFP】英イングランド北東部のティーズサイド刑事法院(Teesside Crown Court)は17日、電車内で乗客の女性に同意なしでキスをして、性的暴行の罪などに問われたサッカー元イングランド代表のポール・ガスコイン(Paul Gascoigne)被告に無罪を言い渡した。

 3日間にわたって行われた裁判で陪審員は、52歳のガスコイン被告に性的暴行と殴打による暴行の両方の罪について、無罪評決を下した。

「ガッザ(Gazza)」の愛称で広く知られるガスコイン被告は証言を行った際、性的な意図はなかったと主張。最初に性的暴行についての評決が下ると被告席で涙を流し、その後、殴打による暴行についても無罪が言い渡された。

 ピーター・アームストロング(Peter Armstrong)判事は被告に「あなたは釈放され、これからは自由の身になる」と告げた。ガスコイン被告は今後、裁判費用の補償について申請を行うことができる。

 ガスコイン被告は昨年8月に電車内で女性に性的暴行をはたらいたことを否定し、この女性が他の乗客から侮蔑の言葉を浴びせられていたため「軽いキス」をして彼女の自信を高めたと主張していた。

 弁護団は15日、接触に性的な意図がなかったことを証明すべく、ガスコイン被告が他のサッカー選手やダイアナ元英皇太子妃(Princess Diana)にさえもキスをしている過去の写真を陪審員に提出していた。

 しかし検察側は、ヨーク(York)発ニューカッスル(Newcastle)行きの電車内で、女性が「太っていて醜い」と言われた後、被告が酔っ払った状態で「だらしない」キスをしたのは法を犯していたと主張した。

 被告は今週はじめの証言で、2人の女性と写真を撮るためにポーズを取るよう求められ、シャッターを切ったのは女性だったと明かしていた。また自身が「プレーする度にデブ野郎と呼ばれていた」と話すと、女性を気の毒に思ったと明かした。

 その後女性の隣に腰を下ろすと、「あいつらの言ってることを気にしちゃいけない」「聞くんだ、あなたは太ってもいなければ醜くもない、内面は美しい」と語りかけ、「軽いキス」をしただけだったと証言していた。(c)AFP