【10月17日 AFP】2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)アジア2次予選、平壌で行われた北朝鮮との歴史的な一戦に臨んだ韓国代表の孫興民(Heung-Min Son、ソン・フンミン)は17日、自身やチームメートが相手にののしられるなど、けがの不安を感じるような「かなり荒れた」試合だったと振り返った。

 国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長が駆けつけたものの、無観客の中で外界からほぼ完全に遮断された状態で行われた試合は0-0で終了した。

 厳密には戦争状態にある両国の試合は北朝鮮の首都・平壌にある金日成競技場(Kim Il-Sung Stadium)で開催されたが、生中継されることはなく、サポーターや海外メディアはスタジアムに入ることはできなかった。

 17日未明に韓国の仁川国際空港(Incheon International Airport)に到着した孫は、記者団に「勝てなかったのは残念だが、けがすることなく無事に帰ってこられたことが大きな成果だと思うほど、かなり荒れた試合だった」とコメントした。

「北朝鮮の選手たちは敏感で攻撃的だった。ひどいののしりもたくさんあった」

 また、大韓サッカー協会(KFA)のチェ・ヨンイル(Young-il Choi)副会長は「戦争のようだった。サッカーの世界であれほどのもの(攻撃性)はこれまでに見たことがない」と語った。

 しかし韓国のキャプテンマークを巻いた孫は、スタジアムに観客がいなかったことについては衝撃を受けなかったと述べた。「そのことでむしろ、(北朝鮮は)われわれのことを強いチームだと捉えていると思った」

 平壌での滞在中、韓国の選手たちは携帯電話の使用を許可されなかったが、孫は「たくさん眠れたからその点は良かった」と、個人的に気にならなかったと明かした。

 一方、試合を現地で観戦したインファンティーノ会長は「残念だった」と振り返った。

 FIFAの公式サイトに掲載されたインタビューの中で、インファンティーノ会長は「非常に歴史的な試合だから、スタジアムが満員になることを楽しみにしていたが、観客席にファンがいなかったのは残念だった」とコメントした。

「そのことだけでなく、生中継や外国人記者のビザ、渡航に関する問題などいくつかの点についても驚いた」 (c)AFP