両足で篆刻を楽しむ金石篆刻業界の「売れっ子」、浙江省の彫刻家
このニュースをシェア
【10月18日 CNS】左足の指先で石印を素早く動かし、右足で握った彫刻刀で彫り続けると、10分もしないうちに「寿」という文字が浮かび上がった。——今年で48歳の孔黎翔(&&Kong Lixiang&&)さんは、中国・浙江省(Zhejiang)で篆書(てんしょ)を彫る金石篆刻(てんこく)業界の「売れっ子」だ。幼い時に両腕を失ったが、挫折することなく篆刻の世界に入り、有名な彫刻家となった。
「病は私を倒すことをできない」「得もあれば損もあるのが人生」。人生を楽観的に生きる孔さんはいつもそう語っている。
孔さんは8歳の時に高圧電流を受ける事故で両腕を失った。暗闇をさまようような思いの中、ある看護師の言葉が彼の人生を変えた。「看護師さんは毎日、私を世話するために病棟に来ました。ある日、ベッドの下を掃除していたら短い鉛筆が見つかり、『毎日遊ぶことばかり考えていないで、足で字を書く練習をしてみたら?』と、私にそれをくれたのです」
その日から孔さんは、足と脳を結びつけるように字の練習を始め、着替えから食事までも一人ですることを決めた。服を着るには足を頭の上まで持ち上げる必要があり、体のバランスがとりづらくてよく転んだという。長年のたゆまぬ努力の末、自立して生活できるようになっただけでなく、足を使って針の糸を通し、字を書くといった難しい動作もこなせるようになった。
子どものころから刻印に興味をもった孔さんは、15歳の時に篆刻の勉強を始めた。それから15年間、師匠の厳しい指導の下で努力を続け、飛躍的に技術が進歩した。
家族の暮らしを良くしようと、2002年に杭州(Hangzhou)で起業。最初に杭州に着いた時、わずか約7平方メートルの部屋を借りて妻と一緒に篆刻の店を開いた。 「当時、私は4000元(約6万円)しか持っていなくて、3600元(約5万4676円)は店の家賃、300元(約4556円)は住む家の家賃。食費は100元(約1519円)しか残りませんでした」
長年にわたり懸命に仕事に取り組んできた孔さんは、次第に多くの人に実力が認められるようになった。篆刻作品は最初の数十元から数千元になり、収入は大幅に増加。視野を広げるために海外にも出て、日本など各国の篆刻コレクターやアーティストたちと交流を深め、中国の優れた篆刻作品を海外に展示した。
「私は自分が他の人と違うと思ったことはありません。小さな空間でも大きな世界が広がる可能性があります」。将来に向かって、孔さんは希望に満ちている。「これからは中日友好芸術展示会の準備をしていきます。海外で中国の金石芸術の魅了をもっと広めて行きたいですね」(c)CNS/JCM/AFPBB News