【10月10日 AFP】メキシコ南部チアパス(Chiapas)州の町ラスマルガリータス(Las Margaritas)で、怒った農民らが町役場に押し入って町長を捕らえ、ピックアップトラックの後部に縛り付けて街路を引きずり回す騒ぎが起きた。農民らは先住民で、補助金の増額を要求していたという。

【関連記事】メキシコの市長、就任翌日に殺害される 家族守って犠牲に

 ラスマルガリータスはグアテマラとの国境に近い人口2万人の町。地元当局者によると、先住民トホラバル(Tojolabal)の集団数十人余りが8日、棒を手に町役場に突入した。

 目撃者は捜査関係者に、農民らはホルヘ・ルイス・エスカンドン(Jorge Luis Escandon)町長を縛り上げ、外へ連れ出すとピックアップトラックの後方に縛り付けたと語っている。

 エスカンドン町長は、警察と町役場職員が介入するまで十数メートル引きずられたが、大きなけがはなく解放された。

 AFPの取材に応じたエスカンドン町長は、「こん棒を持った50~60人の集団がトラック3台で乗りつけ、役場の職員を誘拐して」補助金を「ゆすり取ろうとした」と語った。農民らはもみ合いの末に町長を担ぎ上げ、片足を縛って役場の外に引き出したという。

 当局は、この一件に絡み11人を逮捕。混乱の中で数十人が負傷した。

 州検察官によると、農民らは自分たちの集落への公的支援を増額するよう訴え、現金での直接送金も要求したという。メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)大統領は、汚職対策として官僚を介さず直接受取人に公的支援を現金で届ける政策を導入している。(c)AFP