【10月9日 AFP】(更新、写真追加)スウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)は9日、2019年のノーベル化学賞(Nobel Prize in Chemistry)を、リチウムイオン電池を開発した吉野彰(Akira Yoshino)氏(71)、米国のジョン・グッドイナフ(John Goodenough)氏(97)、英国のスタンリー・ウィッティンガム(Stanley Whittingham)氏(77)に授与すると発表した。

 同アカデミーは受賞理由について、「軽量かつ再充電可能で、強力なこの電池は現在、携帯電話からノートパソコン、電気自動車まで、あらゆるものに使われている」「太陽光・風力発電によって相当量のエネルギーを蓄積することも可能で、化石燃料を使わない社会を実現する可能性をもたらした」と説明。

 さらに「リチウムイオン電池が1991年に市場に流通し始めて以降、われわれの生活に革命的な変化をもたらした」として、同電池は「人類にとって最大の恩恵に値するもの」と評価した。

 吉野氏は、東京に本社を置く旭化成(Asahi Kasei Corporation)の名誉フェローで、名古屋市にある名城大学(Meijo University)の教授も務めている。

 東京で開かれた記者会見で、自身についてどんなタイプの研究者かと尋ねられた吉野氏は、良い科学者であるためには重要な資質が2つあると述べた。

「一つは頭が柔らかくないといけない。柔軟性ですよね。もう一つはその真逆のいわゆる執着心。しつこくしつこく最後まであきらめない」と語った。

 97歳のグッドイナフ氏は、ノーベル賞受賞者に選ばれた中で史上最高齢。同氏は米テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)で、またウィッティンガム氏は、米ニューヨーク州立ビンガムトン大学(Binghamton Universityで、それぞれ教授を務めている。

 3氏は、賞金900万スウェーデンクローナ(約9700万円)を均等に分け合う。(c)AFP