【10月7日 AFP】ウクライナ東部の親ロシア派実効支配地域に、より広範な自治権を認める「特別な地位」を付与することで合意した同国とロシアの和平案をめぐり、首都キエフで6日、約1万人が抗議デモを行った。デモには、ペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)前大統領も参加した。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は今月、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と就任後初の会談を行う予定となっている。ゼレンスキー氏は5年にわたるウクライナ東部紛争の終結を目指し、行き詰まったロシアとの和平交渉を復活させるため、この首脳会談に向けて準備を進めている。

 ウクライナ政府とロシア政府、さらにウクライナ東部の分離独立派は今週、ウクライナ憲法に基づく自由で公正な選挙を実施することを条件に、東部の親ロシア派地域に「特別な地位」を付与することで合意した。

 これに対し6日、キエフの象徴である独立広場(Independence Square)、通称「マイダン(Maidan)」に集まった人々は「降伏反対!」とスローガンを叫んだり、ゼレンスキー大統領に批判的なプラカードを掲げたりした。

 前大統領で、4月の選挙でゼレンスキー氏に敗北したポロシェンコ氏も、デモ終了間際に参加。参加者らはその後、大統領府と国会前に向かって行進した。

 ポロシェンコ氏のツイッター(Twitter)投稿によると、デモはキエフだけでなく、国内20都市以上で実施された。警察の推計によるキエフでのデモの参加者は約1万人。他の都市でのデモはより小規模だったという。また、民族主義団体や極右勢力もいくつか参加した。

 今後行われる首脳会談では、ロシアがウクライナ東部の親ロシア派地域で事実上の支配権を維持できるよう、プーチン氏がコメディアン出身の若いゼレンスキー氏に譲歩を迫るのではないかと懸念する声が上がっている。(c)AFP/Olga SHYLENKO