【10月7日 AFP】フランスの首都パリで6日、独身者や同性愛者を含むすべての女性に生殖補助医療を認める法改正に反対するデモが行われ、7万人以上が参加した。2013年に同性婚が合法化されて以来初の大規模な社会制度改革となる同法案は、先月下院で可決された。

 赤と緑の旗を振るデモの参加者らは、同国の標語「自由・平等・友愛」の最後の言葉をもじり、「自由、平等、父性」と叫びながら、国民議会から高層ビル「トゥール・モンパルナス(Tour Montparnasse)」まで歩いた。

 独立メディアの推計による参加者数は、約7万4500人。一方、主催者側は60万人が参加したとしている。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、2017年の大統領選で対抗する右派やカトリック教会など保守的な宗教団体による根強い反対をものともせず、生殖補助医療の拡大を認める法案を推進すると公約していた。

 改正案によると、43歳以下のすべての女性が受ける生殖補助医療の費用は国の医療制度で負担される。また、現状では精子提供者の匿名性が厳しく保護されているが、法案が可決されれば、提供された精子で生まれた子どもが18歳に達して以降、自分の父親を確認することが可能となる。

 反対派は改正案について、子どもたちから必要な父親像を奪い、伝統的な家族構成を脅かし、さらに同性愛男性を含む代理母出産の合法化に道を開くことになると批判している。

 欧州ではすでに英国やスペイン、ポルトガル、オランダ、アイルランド、ベルギー、スカンディナビア(Scandinavia)諸国で、すべての女性に生殖補助医療が認められている。(c)AFP/Alexandre HIELARD