【10月6日 AFP】フランスのパリ警視庁で職員が刃物で警察官ら4人を殺害した事件で、検察のテロ対策部門は5日、容疑者の男が「イスラム教の過激思想」に固執していたと発表した。

 対テロ検察官のジャンフランソワ・リカール(Jean-Francois Ricard)氏は記者会見で、警視庁情報部のIT職員ミカエル・アルポン(Mickael Harpon)容疑者(45)がイスラム教スンニ派(Sunni)の分派で超保守的なサラフィー主義(Salafi)の信者らと接触し、「イスラム教の名の下で行われる残虐行為」を擁護していたと明らかにした。

 事件は3日の昼食時に発生し、男性警察官3人と女性事務職員1人が死亡した。アルポン容疑者は、警視庁で研修中だった警察官に射殺された。現場となったパリ警視庁は、歴史的建築物が集まる市中心部に位置し、すぐそばにはノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)がある。

 この事件は、士気の低さなど多くの問題を抱えるフランス警察に衝撃を与え、セキュリティー手続きに深刻な懸念をもたらした。

 リカール氏によると、アルポン容疑者はカリブ海(Caribbean Sea)の仏領マルティニク(Martinique)島生まれで、約10年前にイスラム教に改宗。逮捕歴はないが、2009年にドメスティックバイオレンス(DV)の疑いで取り調べを受けた。

 情報筋によると、アルポン容疑者はイスラム過激派に関する情報収集を担当する部署に所属。国防に関する機密情報を扱う権限を有していたため、定期的に厳しいセキュリティーチェックを受けていた。(c)AFP/Eleonore DERMY / Gregory DANEL