【12月13日 AFP】フランス東部ストラスブールで11日に起きた銃乱射事件は、国内外から大勢の観光客を集めるクリスマス市のにぎわいを暗転させた。過去の襲撃事件を教訓に現場には厳戒態勢が敷かれていたが、十数人の死傷者を出す凶行を防げなかった。住民や観光客には衝撃や不安感が広がり、現地はクリスマスを前にして沈鬱(ちんうつ)な雰囲気に包まれている。

「けさ出勤した時も気分が重かった。この先どうなるんだろう」。ストラスブール近郊に住む女性は12日、そう心境を吐露した。女性は、前日の夜にクリスマス市で男が襲撃を始め、何千人もの人が一斉に逃げ出した当時、現場に居合わせた。

 人口30万人のストラスブールのクリスマス市には、毎年約200万人が訪れ、市は「クリスマスの都」をうたう。しかし、逃走した容疑者の大規模な捜索が続く中、市内では緊張した状態が続いている。

「どこもかしこも閉まっている」。電飾の光が消えたままのクリスマス市で、シャッターが閉められた店舗前のカフェテーブルの椅子に座っていたスペイン人観光客の2人組は、膝に載せたシティーマップを眺めながら嘆いていた。

 政府庁舎は国旗を半旗にし、劇場などの公演は軒並みキャンセル。学校だけは、自宅に子どもを置いておくことができない保護者のために開放されていた。

「これじゃまるで包囲された都市だ」。仏北西部のブルターニュ(Brittany)地方から来た観光客の男性はつぶやいた。