【10月3日 AFP】米政府は2日、欧州連合(EU)加盟各国が航空機大手エアバス(Airbus)に違法な補助金を拠出していたとして、EUの輸出品75億ドル(約8000億円)相当に18日から報復関税を課す方針を示した。

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 世界貿易機関(WTO)はこの発表の数時間前、米側からEUへの報復課税を認める決定を下していた。これはWTO史上最大の裁定で、長きにわたるエアバスと米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)の紛争の節目となる出来事。貿易分野における米欧の緊張がさらに高まる恐れがある。

 米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)代表は、紛争解決に向けて直ちにEU側と協議を始める意向を示したが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、WTO裁定は米国の「大勝利」だと自賛。15年に及ぶ係争で今回の結果が出たことについて、自らの功績を強調した。

  EUは米側の措置により、エアバスを支援するフランス、ドイツ、スペイン、英国からの輸出品を中心に、航空機で10%、チーズ、ウイスキー、オリーブ油などの商品や一部の工業製品で25%の新たな関税を課される。

 裁定によれば、米側はEUに対して最高100%の報復関税を課せるが、今のところ税率は抑制的。しかしUSTRは、今や米国には「いつでも税率を引き上げる権限があり、対象品目を変更することもできる」と言明している。

 EUは米側の発表に先立ち、交渉に前向きな姿勢を示していたが、米国が新たな関税を発動した場合、EU側からも報復関税を課すと直ちにけん制した。

 しかし、ある米貿易当局者は、EUによる報復関税はWTO規則に反すると指摘。米政府は対応を準備すると述べた。(c)AFP/Heather SCOTT and Ben SIMON in Geneva