■地球は自らバランスを取り戻すが…

 英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ(Queens' College Cambridge)のマリー・エドモンズ(Marie Edmonds)教授(火山学・岩石学)は、「過去にはこれらの大規模な炭素の大気流入が温暖化を引き起こし、海洋の組成と酸素の可用性の両方に大きな変化をもたらしたことを確認している」と話す。

 研究チームは今回、地球上の全生物種の約75%を絶滅させた6600万年前のチチュルブ(Chicxulub)隕石衝突では、425~1400ギガトンのCO2が放出されたと推定した。

 一方、人為的CO2排出量は、2018年だけで年間37ギガトンを超えたという。こうした状況についてエドモンズ教授は、「この10~12年間に人為的活動によって大気中に排出されたCO2の量は、過去に確認されるこれらの事象の際にみられた壊滅的変化(に匹敵する)」とAFPの取材で語った。

 米アーカンソー大学(University of Arkansas)のセリーナ・スアレス(Celina Suarez)准教授(地質学)も、現代の人為的排出量が、大量絶滅を誘発した過去の大規模事象と「同程度」だと指摘している。

 それに比べ、火山から放出される年間のCO2量は0.3~0.4ギガトン前後で、人為的排出量のほぼ100分の1だ。そして人為的な炭素排出が始まってからは、CO2濃度が200~300年で約6割増加している。

「気候変動否定論者らは決まって、地球が常に自らバランスを取り戻すと主張する」と、スアレス准教授は話した。

「確かに地球はこれまでそうしてきたし、今後も自らバランスを取り戻すに違いない。だがそれは、人類にとって意味のある時間スケールで行われることはない」 (c)AFP/Patrick GALEY