【10月11日 CNS】「盗墓筆記(Daomu Biji)」は中国のネット上で人気の連載小説だが、記者は先月26日、「盗墓筆記事件」が現実に起きたことを知った。

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 舞台は中国・浙江省(Zhejiang)林城鎮(Lincheng)のとある村。9月のある日の午後、派出所に小天さんがやってきて、「父が数か月前に亡くなり、社会保険局から父の医療保険の返還金と葬儀費で9500元(約14万4000円)を父の銀行カードに振り込んだとの連絡がありました。ところが口座の中には数十元(1元は約15円)しかなく、9500元は消えてなくなりました」と訴えた。

 派出所はすぐに捜査を始め、銀行カードの入出金記録から、8月にこのカードから500元(約7570円)、2000元(約3万円)と何回も引き出され、合計額が9500元になっていることをつきとめた。

 9500元はこのカードとひも付けされたままになっていた故人の携帯電話に入っていたSNSアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」に現金チャージとして振り込まれていた。そして故人のアプリからまた21歳の男のウィーチャット口座に送金されていた。

 警察は男の行動記録を追跡し、容疑が固まり、19日午前林城鎮のある村で逮捕した。

 逮捕された李立容疑者の供述によると、「勤めに出るのは嫌だが収入はないので、墓荒らしの運だめしを思いついた。何度も夜陰に紛れて公共墓地に入り込み、いくつかの墓をあばいて30元(約450円)から80元(約1200円)ほどの硬貨を手に入れた。今までに20以上の墓を荒らした」としている。

 そしてある日、李容疑者は墓の中で携帯電話を見つけた。家に持ち帰って充電し開いて見ると、ウィーチャットがまだ銀行カードとひも付けされたままになっていた。何度か試して支払いロックを開錠できたので、まず銀行カードから1000元(約1万5140円)をアプリにチャージしてみたら、思いがけず成功してしまった。

 喜んだ李容疑者は、すぐに故人のウィーチャットに自身を友人登録し、自身への送金を行った。その後、携帯電話をいったんは墓に戻したが、金がなくなるとまた墓から取り戻して送金を繰り返した。最後に故人の口座の金が底をついたので、携帯電話を墓に戻したという。(c)CNS/JCM/AFPBB News