【10月1日 Xinhua News】中国の暗黒物質(ダークマター)探査衛星プロジェクトチームが28日、第2弾の科学成果を発表した。2015年末の打ち上げから2年半の間のデータに基づき、暗黒物質探査衛星「悟空(Wukong)」が世界で初めて空間実験を利用して高エネルギー陽子の宇宙線エネルギースペクトルを正確に描き出すとともに、エネルギースペクトルの新しい構造を観察した。人類による地球に近い場所の宇宙線の発生源発見につながる可能性があるという。

 打ち上げから2年半で「悟空」が収集した約2000万個の高エネルギー陽子データを基に、研究チームが正確な高エネルギー宇宙線エネルギースペクトルを描き出した。このスペクトルは、陽子の流量がまず上昇した後下降するという「屈折」構造をはっきりと示していた。

 中国科学院紫金山(Zijinshan)天文台の袁強(Yuan Qiang)研究員は「屈折」が出現したのは地球とちょうど隣り合う宇宙線源による可能性が高いと説明。今後さらに研究が進めば、人類がこの地球に近い宇宙線源の位置を特定できる可能性が高いと述べた。

 「悟空」は2015年12月17日に中国が初めて打ち上げた天文衛星。(c)Xinhua News/AFPBB News