【9月29日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は28日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領政権が、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官の私用メール問題に関する調査に力を入れていると報じた。2016年の大統領選で、対立候補だったクリントン氏を非難する際に利用した問題を蒸し返した形だ。

 同紙によると、数年前に送信され、過去にさかのぼって機密扱いとなった電子メールに関し、国務省の調査担当者がここ数週間、これまでに最大で約130人の当局者に接触した。電子メールのほぼ全ては、セキュリティーが万全ではないクリントン氏のメールアカウントに送信されたか、結果的に同氏のメールアカウントに届いたものとされる。

 同紙は現職員と元職員の発言を引用し、国務省の調査担当者が約1年半前から職員への接触を始め、一時は沙汰やみになったものの、8月に再開されたと伝えた。国務省高官の一人は匿名を条件に「これは誰が大統領かとは無関係だ」と述べ、膨大な量の電子メールを精査するのに約3年半かかったと話したという。

 国務省の当局者も、調査再開に政治的動機があることを否定している。ただ、この件に詳しい元高官は、クリントン氏の私用メール問題を立ち消えにさせないための共和党の手段のようだと述べ、民主党の外交政策関係者全体に泥を塗る方策であることを意味していると指摘した。

 トランプ氏は2016年の大統領選で、クリントン氏の私用メール問題をめぐり、同氏が刑務所行きに値すると繰り返し主張。連邦捜査局(FBI)による捜査後、ジェームズ・コミー(James Comey)長官(当時)は、クリントン氏の訴追は適当ではないと勧告した。ただ、クリントン氏は、投票を目前に控えたタイミングでの捜査再開が敗因との見方を示していた。(c)AFP