【9月28日 AFP】27日に行われた第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)の男子5000メートル予選で、無名の2選手が感動的なスポーツマンシップを示し、観客から大喝采を浴びる一幕があった。

 ドラマが生まれたのはハリーファ国際スタジアム(Khalifa International Stadium)で行われたレースのファイナルラップ。他の選手は数分前にフィニッシュし、残るはブライマ・ダボ(Braima Suncar Dabo、ギニアビサウ)とジョナサン・バスビー(Jonathan Busby、アルバ)の2人だけとなっていた時だった。

 最後の直線に入ると、33歳のバスビーはスローダウン。足元がおぼつかない感じで、よろめきながら転倒しそうになった。するとダボが立ち止まってライバルの腕を支え、そのまま約200メートル先のフィニッシュラインまで導いた。

 1992年バルセロナ五輪の男子400メートルで倒れながらも、父の肩を借りてフィニッシュしたデレク・レドモンド(Derek Redmond)をほうふつさせるシーンに、観客は大声援を送った。

 ポルトガルの学校へ通っているという26歳のダボはレース後、「彼の完走を手助したい一心だった」「とにかく、フィニッシュラインを通過するまで支えたいと思ったんだ。あの状況にいたら、誰でも同じことをすると思う」と通訳を介して語った。

 同組トップのセレモン・バレガ(Selemon Barega、エチオピア)から5分近く遅れてフィニッシュしたものの、ダボは自己ベストの18分10秒87を記録。一方、レース後に車椅子で運ばれたバスビーは、予選失格という厳しい結果となった。(c)AFP