【9月28日 AFP】オーストラリア東部クイーンズランド(Queensland)州ケアンズ(Cairns)近郊で26日、上空からワニを検知するドローンの試験飛行が行われた。

 設計者によると、このドローンには世界初の人工知能(AI)のアルゴリズムが搭載されており、小川や川、海辺にいるワニを検知することができるという。

 ドローンのアルゴリズムが映像を精査し、危険を察知した場合に操縦士に警告を送る仕組みだ。設計者によれば、人の裸眼の正確度が16~19%前後であるのに対し、アルゴリズムの正確度は93%だという。

 ドローンを提供した「ウエストパック・リトル・リッパー(Westpac Little Ripper)」のマーク・フィリップス(Mark Phillips)氏は、大量の映像が機械学習アルゴリズムに送られ、ワニの探知能力が高まると話す。「水の状況やワニの大きさや形、静止しているか泳いでいるかなど、ワニに関するすべてを学習する必要があり、そうすることで探知能力が上がる」とフィリップス氏は言う。

 観光客に人気のクイーンズランド州北部では、2017~18年にワニによる襲撃が5件発生し、うち2件は死者が出ている。沿岸から40キロ以上内陸でも通常はないワニの目撃情報があり、当局は懸念を募らせている。

 シドニー工科大学(University of Technology Sydney)のナビン・シャーマ(Nabin Sharma)氏によると、クイーンズランド州当局は保護の観点からワニの個体数の情報を市民に知らせるプログラムを展開しており、その一環としてドローン技術の活用に熱心だという。今回のドローンが取得した情報は、操縦士を通じて市民がダウンロード可能なアプリに即座に送られる。(c)AFP