【9月27日 AFP】ボクシング元世界王者で55歳のナイジェル・ベン(Nigel Benn、英国)氏は26日、来月23日にバーミンガム(Birmingham)で40歳のサキオ・ビカ(Sakio Bika、オーストラリア)と対戦すると発表した。1試合限りの復帰を表明した理由については、現役時代に悩まされた薬物依存やうつ病を乗り越えて「区切り」をつけるためと説明した。

 1996年を最後にプロボクサーとして戦っていないベン氏は、ロンドンで開かれた記者会見で、「久しぶりに復帰する」「このファイトは自分のためだ。経済的なことではなく、これまでかなえられなかった区切りをつけたいという一心だった」と語った。

「自分は若い頃からたくさんの問題に苦しんだ。1972年に兄が殺され、そのことを大人になるまで引きずっていた」「8歳で喫煙を始めて41歳まで吸っていた。キャリアを通じてずっと、(合成麻薬の)エクスタシー(Ecstasy)やマリフアナをやっていたし、うつ病にも苦しんだ」

「こういう問題を抱えずに臨んだファイトは一つもない。ずっと苦しんでいた。全盛期があったとは思っていないし、どうやってそこまでたどり着いたのかも分からない」

「ダーク・デストロイヤー(Dark Destroyer)」の異名を持つベン氏は、1990年にWBOミドル級タイトルを獲得し、1992年から96年にはWBCスーパーミドル級王座に君臨。最後に戦ったのは23年前に行われたスティーブ・コリンズ(Steve Collins、アイルランド)との同級タイトルマッチで、このときは6ラウンドで棄権して敗れた。

「ずっと何年も暗闇にいた」「自殺も考えたし、そのときは自分でいたくなかった。とにかく、これまで経験してきたことを理解してもらいたい」「それから、2008年頃にイエスに出会って人生が変わった。本当に変わったんだ。マリフアナ、エクスタシー、女性には一切手を出していない」 (c)AFP