【9月26日 AFP】フランス・パリの裁判所は25日、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)をツイッター(Twitter)への投稿で告発した仏女性ジャーナリストに対し、投稿内容が加害者とされる男性の名誉を毀損(きそん)しているとして、損害賠償1万5000ユーロ(約177万円)の支払いを命じる判決を下した。

 サンドラ・ミュレール(Sandra Muller)被告は2017年10月13日、自身が受けたセクハラをツイッターで告発する際、ハッシュタグ「#balancetonporc(豚野郎を告発しろ)」を付けて投稿。他の仏女性たちにも被害を告発するよう呼び掛け、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」のフランスにおける先駆けとなった。問題のハッシュタグは多くの人に共有・拡散された。

 AFPが入手した判決内容によると、ミュレール被告がセクハラされたと告発した相手は、仏テレビ業界の重鎮でメディアコンサルタントのエリック・ブリオン(Eric Brion)氏。仏カンヌ(Cannes)で2012年に開かれたパーティーで、「おっぱい大きいね。君は私のタイプだ。一晩中いかせてあげる」などのみだらな言葉を投げ付けられたと、問題のハッシュタグを付けてツイートしていた。

 仏テレビ局「エクイディア(Equidia)」元トップのブリオン氏は、ミュレール被告に対して不適切な発言をした事実を認めているが、パーティー翌日に携帯電話のテキストメッセージで謝罪したと主張。ミュレール被告の投稿はブリオン氏をまるで性犯罪者のように扱い、セクハラ報道でキャリアが台無しになったと訴えていた。

 裁判所はミュレール被告に対し、損害賠償に加えてブリオン氏の訴訟費用5000ユーロ(約59万円)の支払いと、問題のツイートの削除、被告のツイッターアカウントとメディア2社を通じて判決内容を公表するよう命じた。

 ミュレール被告は判決について、「理解不能」だと記者団に語り、セクハラ被害者に「黙れと伝えるメッセージ」だと批判。問題のツイートが注目を集めた結果、「記者としてではなく『豚野郎を告発しろ』の人だとみなされるようになり」仕事に支障をきたしているものの、ハッシュタグを考案したことは「後悔していない」と主張した上で、女性らに声を上げ続けるよう呼び掛けている。

 被告側弁護人は、判決を「時代遅れ」で「退行している」と非難し、上訴する意向を明らかにした。(c)AFP/Benjamin LEGENDRE and Stuart WILLIAMS