【9月25日 AFP】国連(UN)は25日、地球温暖化により海や地球上の氷が破壊され、人類の大部分を直接的に脅かしていると警告した。国連関係では2日前にも、米ニューヨークで気候行動サミットが開催されたが、二酸化炭素の排出量削減に向け形勢を一変させるような合意には至れなかった。

【特集】地球温暖化

 195か国が参加する気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が承認した、注目の評価報告書によると、温暖化が海と氷に及ぼす影響は、氷床の縮小や海面上昇、氷河の消失など多岐にわたり、水産資源が減り、真水の水源を破壊し、毎年のように複数の大都市を荒廃させる巨大な暴風雨が発生すると警鐘を鳴らしている。これらの影響の一部は、不可逆的なものだという。

 報告書では、人類が排出した二酸化炭素の4分の1と温室効果ガスによって生じた熱の9割以上を海が吸収してくれていることにより、地球は居住可能な状態にとどまっているものの、これまでに受けた被害は既に甚大だと指摘。

 中でも最大の脅威は、主にグリーンランド(Greenland)と南極を覆う氷床の融解の加速による海面上昇だ。

 海面上昇のスピードは2005年以降、20世紀中と比べて2.5倍となっている。

 2050年までには、温室効果ガスを積極的に減らしたとしても、沿岸部の多くの大都市や島国が、これまで百年に一度とされてきた規模の災害に毎年見舞われるようになると予測されている。

 また同じく今世紀半ばまでに、サイクロンや大規模な洪水など、海面上昇により増幅された異常気象の被害を受けやすい海抜の低い土地の居住者が、10億人以上に達するとみられている。

 米ニューヨークをはじめとする一部の都市は、数百億ドル(数兆円)を投じて海面上昇に対する防災機能の強化を図る計画だが、さらに多くの費用を要する可能性もある。(c)AFP/Marlowe HOOD