温暖化による「水没難民」は2億8000万人に、名古屋・大阪の一部も 研究
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【9月24日 AFP】迫害、飢饉(ききん)、内戦などから逃れた難民の大半は、一つのことを夢見ている。それは、いつの日か故郷に帰ることだ。だが、海面上昇によって何億人もが住む場所を追われると──科学者らによると、ほぼ確実に現実となる──帰れる望みはない。
地政学に関わる環境問題の専門家で、ベルギー・リエージュ(Liege)にあるヒューゴ観測研究所(Hugo Observatory)の所長を務めるフランソア・ジェメン(Francois Gemenne)氏は、AFPの取材に「海面上昇に関しては、帰郷という選択肢のない人口移動になる」と語った。
世界の海洋の水位は1900年以降で15~20センチ上昇しており、これは気候変動の直接的な影響とされる。最近まで、海水の体積が増大するのは水温上昇に伴う海水の膨張が主な原因だったが、今日では、氷河からの融解水と、特にデンマーク領グリーンランド(Greenland)および南極大陸の氷床からの融解水が主な要因となっている。
22日に発表された国連(UN)の報告書によると、海面の上昇速度も加速しており、この10年で過去100年間の3倍近くに増大しているという。
2100年までに海洋がどれほど高く上昇するかは、主に地球温暖化がどのくらい進行するかによって決まる。
AFPが確認した国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」報告書の草案によると、人類が世界の気温上昇幅を産業革命前の水準から2度未満に抑えても、海水面は約50センチ上昇するという。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」では、気温上昇2度未満を要となる目標に掲げている。
温室効果ガス排出を抑制する取り組みが不十分で気温が3~4度上昇すると、海面の上昇幅は1メートル近くに達する可能性が高い。これほどの海面上昇が起こると、沿岸部の多くの巨大都市では大規模破壊が発生するとともに、多くの島国が居住に適さない状態になる。