【9月30日 AFP】カタールのドーハ(Doha)で開催中の第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)で先週末、高い気温と湿度により選手の棄権が相次いだ。そのような中、最近行われたAFPのインタビュー取材で、来年真夏に開催される東京五輪について、「最大のリスク」は熱中症だと日本医師会の幹部が警鐘を鳴らしている。

 日本医師会の長島公之(Kimiyuki Nagashima)常務理事はAFPの取材に対し、東京五輪では市民が最も猛暑の危険にさらされる恐れがあり、医師もその対応に追われると指摘した。同氏は整形外科医師で、日本医師会では健康スポーツ分野を担当している。

 危険は猛暑だけではない。世界中の人が大挙して押し寄せるため、伝染病の危険もあると長島氏は話す。麻疹(はしか)については、多くの日本人が子どもの頃に適切な予防接種を受けておらず、懸念があるという。

「個人的な意見では、本来はより快適な環境でスポーツを行うべき。他の商業的・経済的な要因で、ふさわしくない期間・場所で開催されるのは好ましいことではないと思います」「これだけ熱中症のリスクが高い所では、原則論としては、あまりふさわしくはないと思います」と長島氏は話した。

 東京五輪の招致委員会は、大会の開催期間である7月24日から8月9日およびパラリンピックの時期である8月25日から9月6日は、「晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と説明していた。

 しかし、昨年夏に熱中症によって救急搬送された人は日本全国で9万3000人近くに及び、死者は159人出ている。大半のケースは、東京五輪の開催時期に重なっていた。

 長島氏は、「最初の認識として、熱中症というのが2020年の東京オリンピックで最大の危険因子であると――健康に関して――と捉えています」と話す。