【9月21日 AFP】フランスでパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経疾患の患者約350人に対し、許可を受けずにホルモン入りパッチ剤の臨床試験が実施されていたことが明らかになった。アニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)仏保健相は20日、「とんでもない不祥事」だと非難し、法的措置を取る構えを示した。一部の臨床試験は修道院で行われていた。

 仏医薬品・保健製品安全庁(ANSM)は19日、この臨床試験が適切なものなのかどうか分かっていないとして、参加者に直ちにパッチを貼るのをやめ、医師の診察を受けるよう呼び掛けた一方、こうした臨床試験は「違法行為」だと非難した。

 フランス中西部ポワチエ(Poitiers)近郊の修道院で臨床試験が行われていたと報じられたことを受け、ビュザン保健相は「とんでもない不祥事だ。この件は検察に持ち込んで法的措置を取る」と明言した。

 ANSMのベルナール・セリ(Bernard Celli)監査局長は20日、こうした臨床試験が発覚したのは「極めてまれで、しかもこれほどの規模のものはさらに例がなく」、「公衆衛生関連法規や刑法の重大な違反に当たる」として、ANSMも独自に法的措置を取ると明らかにした。

 問題の臨床試験を実施したジョセファ・ファンド(Josefa Fund)という団体の副代表で医師のアンリ・ジョワイユ(Henri Joyeux)氏は、その反ワクチンの姿勢で医療関係者の間では知られている。

 ジョセファ・ファンドはそのウェブサイトで「アルツハイマー病の原因と治療法がついに解明された」と根拠のない主張を行い、バレントニン400マイクログラムと6-メトキシハルマラン100マイクログラムを含有するパッチを貼ると「治療のタイミングが遅過ぎなければ睡眠と認知能力が改善」し、パーキンソン病や睡眠障害、うつ病、「精神病的状態」にも同様の効果があると唱えている。

 この臨床試験は今月上旬、ANSMが参加者の血液サンプルが送られていた検査機関を監査したことで発覚した。(c)AFP