【9月20日 AFP】米国とカナダに生息する鳥の個体数が1970年以降29%減少したとの研究結果が、19日に発表された。これは約30億羽に相当するといい、まん延する生態学上の危機を示していると警告している。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された研究論文によると、個体数が最も減少したのは草原に生息する鳥で、牧草地や大草原が消失し、農地が拡大したことが原因だという。また農薬の使用拡大で昆虫が殺されることで、食物連鎖全体が影響を受けていることも要因となっている。

 また、森林に生息する鳥や、多様な場所に生息する鳥も減少傾向にあり、減少した鳥のうち90%以上が、スズメやムシクイ、クロドリ、アトリ科の小鳥など12種だったという。

 米コーネル大学(Cornell University)の鳥類学者で、論文の主要執筆者の一人、ケン・ローゼンバーグ(Ken Rosenberg)氏は、世界各地で鳥の減少傾向がみられると指摘。「農業の拡大と土地の使用方法の変化が、こうした鳥の個体数への圧力となっている」と述べた。

 今回の論文は世界各地で観察されている減少傾向を映し出しており、フランスでも国立生物多様性展望台(ONB)が、1989年~2017年に草原に生息する鳥の個体数が30%減少したと推定した。(c)AFP