【9月19日 AFP】カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相(47)が、18年前に教師をしていた学校で「千夜一夜物語(アラビアンナイト、Arabian Nights)」をテーマにしたパーティーの際、顔を茶色く塗るメークを施していたと米誌タイム(Time)が18日報じた。トルドー氏は同日、記者会見で「人種差別主義者がやるようなことだった」「深く後悔している」と陳謝した。

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 10月21日の総選挙を控え、倫理規定違反スキャンダルなどで批判にさらされているトルドー氏は厳しい選挙戦を強いられている。同氏率いる自由党は2015年の総選挙で圧勝したが、現在、支持率はアンドリュー・シーア(Andrew Scheer)党首の野党・保守党と拮抗(きっこう)している。

 タイム誌は、当時29歳のトルドー氏がターバンと丈の長い衣装をまとい、顔と首、手を茶色く塗っている写真を掲載した。写真の出典は、勤務先だった私立学校ウエスト・ポイント・グレー・アカデミー(West Point Grey Academy)の2000~01年の卒業アルバムだという。

 タイム誌の記事は、自由党の広報部が写真の人物をトルドー氏本人と確認し、「アラビアンナイトを衣装のテーマにした学校の年次ディナーパーティー」で撮影されたものだと説明したと述べている。AFPはその写真について事実関係を独自に確認していない。

 トルドー氏は18日、選挙運動のため移動中の専用機内からテレビ会見し、問題の写真に写っているのは自分だと認めた上で、「私はこれまでの人生を通じて、人々に機会をもたらし、人種差別や不寛容と闘うことに努めてきた」と釈明。「若い時分に過ちを犯したといえるし、犯していなければ良かったと思う。あの頃もっと分別があれば良かったが、私にはなかった。その点について深く謝罪する」と述べた。

 さらに、「人種差別主義者がやるようなことだったと、今は理解している」「さまざまな社会的アイデンティティーが交差した社会で、差別に直面する人々を深く傷つける、重大な問題だ」との認識を示した。

 カナダの多文化主義を熱心に提唱するトルドー氏の内閣は、閣僚の半数が女性。また、閣僚6人がアジア系かアフリカ系の血を引いている。

 なお、奴隷制度と隔離政策の歴史を持つ隣国の米国でも今年、複数の政治家が若い頃に顔を「黒塗り」にしていたとされるスキャンダルが相次いでいる。米バージニア州のラルフ・ノーサム(Ralph Northam)知事は、顔を黒く塗った人物と白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の衣装を着た人物を撮影した卒業アルバムの写真について、うち一人は自分だと認めた翌日、いずれも自分ではないと否定して辞任を拒否している。(c)AFP