【9月14日 AFP】南米パラグアイで独裁政権を率いた故アルフレド・ストロエスネル(Alfredo Stroessner)将軍の元住居から先週、3人の遺骨が発見されたことを受け、当局は13日、他にも遺骨がないか発掘作業を行った。見つかった遺骨について警察は、同政権下で殺害されたか強制的に「失踪」させられた423人に含まれている可能性があるとみて捜査をしている。

 現場となる30ヘクタールの面積の敷地は、ブラジルとアルゼンチンの2か国と国境を接する南東部シウダデルエステ(Ciudad del Este)に近い山腹の農耕地に位置し、長い間、放置されていた。敷地内の住居を不法占拠している人々が今月、浴室の床下を掘り起こした際に三つの頭蓋骨をはじめとする人骨を発見し、13日に、敷地内の地下に掘られたトンネル内の終着地点でさらに多くの遺骨を発見したと証言。同日、敷地内では警察の指示の下、数十人がつるはしやバールで厚いコンクリートを砕き、住居や建物周辺の基礎を掘り起こす作業を行った。

 不気味な遺骨発見の報を受け、独裁政権が幕を閉じてから30年となるパラグアイには衝撃が走っている。

 ストロエスネル氏は1954年から1989年までパラグアイで圧政を敷き、南米で最長となる独裁政権を築いた。同国の真実正義委員会(Truth and Justice Commission)の報告書によると、ストロエスネル政権下では、423人が殺害されたか「失踪」し、1万8722人が拷問を受け、3470人が国外追放された。これまでに遺体が見つかったのは37人のみで、身元が判明したのは4人しかいない。

 ストロエスネル氏は、1989年のクーデターで退陣。その後ブラジルに逃れ、2006年に死亡した。(c)AFP/Hugo OLAZAR