【9月13日 AFP】ネズミが隠れ場所を探してこっそりと移動している時は、かくれんぼで遊びたいだけなのかもしれないと推定した研究が12日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

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 独フンボルト大学(Humboldt University)の神経科学者チームが箱だらけの小さな部屋の中でネズミたちと数週間過ごした結果、驚くべきことにネズミがかくれんぼの名人であることが分かった。

 褒美として餌を与えなかったにもかかわらず、ネズミは隠れまわる人間を見つけたり、人間に見つけられたりすることを純粋に楽しんでいる様子だったという。このことはネズミがうれしい時に見せる「跳躍」や、過去の研究で喜びを示すものと判明した超音波の笑い声から分かったという。

 この研究はかわいらしさ(見方によっては気味の悪さ)以上に、哺乳類の間に見られる重要な進化的特徴である遊ぶという行為に関する新たな見識を示すものだ。

 共同執筆者の一人で、フンボルト大学のコンスタンティン・ハルトマン(Konstantin Hartmann)氏はAFPの取材に対し、「長年にわたってたくさんの仕事を一緒にしていれば、ネズミがいかに知能が高く社交的な動物か分かる」「それでも、ネズミがあんなにもうまく(かくれんぼを)やれるというのは大変な驚きだった」と語った。

 実験は複数の若い雄ネズミを放した30平方メートルの部屋で行い、研究者1人が隠れる役で段ボール箱の陰にしゃがんだり、ネズミに先に隠れる場所を見つけさせて鬼役を演じたりしたという。

 ネズミたちは1、2週間のうちに、閉じた箱の中でスタートしてから遠隔操作でふたを開けられる場合が鬼役で、開いた箱の中でスタートする時が隠れる役だと学習した。するとすぐに高度な戦略を編み出し、鬼役の時には人間が以前に隠れていた場所に行ったり、隠れる役の時には透明な箱よりも不透明な箱を選んだりするようになった。

 ハルトマン氏によると、研究チームは訓練を促すため、餌や水ではなく、子猫や子犬と遊ぶ時になでるように、肯定的な社会的交流を褒美とした。

 だが研究チームは、ネズミこうした社交だけを目当てにかくれんぼをしていたわけでなく、かくれんぼで遊ぶこと自体を好んでいたのではないかと推測している。

 喜びの跳躍や笑い声の他にも、見つかってから別の場所に「隠れなおす」ことを時には数回繰り返し、遊ぶ時間を長引かせ褒美の受け取りを遅らせようとする行動もみられたからだ。

 遊ぶという行為は若い哺乳類の認知発達における重要な一部で、進化においてヒトに近いネズミは、ヒトの脳の活動の研究における理想的なモデルとなっている。(c)AFP/Issam AHMED