【9月8日 AFP】ロシアとウクライナは7日、長く待ち望まれていた捕虜や拘束者の交換を行った。両国とも35人ずつ帰国させた。この交換は、5年にわたる緊張と紛争の終結に向けた第一歩と歓迎されている。

 拘束者らは同日、飛行機でそれぞれモスクワとキエフの空港に同時に到着した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はボリスピリ(Boryspil)空港の滑走路で帰国した人々を出迎え、「われわれは第一歩を踏み出した」「この恐ろしい紛争の終結に向けて、あらゆる手を尽くさなければならない」と語った。

 ボリスピリ空港では、抱擁する家族や花束を手に帰国者を歓迎する人々の姿があった。感情を抑えきれず涙を流す人も少なくなかった。

 ウクライナに引き渡された35人の中には、昨年ロシアに拘束されたウクライナ艦船の乗組員24人や、ウクライナ人映画監督オレフ・センツォフ(Oleg Sentsov)氏も含まれていた。

 乗組員の一人の母親は、「うれしさでいっぱい」と述べ、ようやくこの日を迎えることができたと続けた。

 一方のロシアでは、政府専用機からモスクワ・ブヌコボ(Vnukovo)空港に降り立つ帰国者らの様子を国営テレビが伝えた。

 ロシアに引き渡された35人の中には、ウクライナの親ロシア派武装勢力とつながる戦闘員ウラジーミル・ツェマク(Vladimir Tsemakh)氏も含まれていた。ツェマク氏はマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便撃墜の重要な証人で、オランダが帰国させないよう求めていた。

 同日の拘束者交換は、欧米諸国の首脳らから歓迎された。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は「平和への大きな第一歩」、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は「希望の兆し」とコメントしている。

 2014年にロシアがクリミア(Crimea)半島を併合し、ウクライナ東部の工業地帯ドネツク(Donetsk)とルガンスク(Lugansk)の分離派を支援したことで両国関係は急激に悪化。ウクライナ東部の紛争では、過去5年間で1万3000人以上が死亡した。(c)AFP/Oleksandr Savochenko with Michael Mainville in Moscow