【9月7日 AFP】陸上女子中距離のキャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)が、サッカー選手になる準備を進めている。同選手はテストステロン(testosterone)値を下げるための治療を拒否し、女子800メートルの連覇が懸かっていた今月の世界陸上ドーハ大会(IAAF World Championships in Athletics Doha)を欠場することになっている。

【特集】キャスター・セメンヤをめぐる「性別」問題

 同種目で2個の五輪金メダルに輝くセメンヤは、南アフリカの首都ヨハネスブルクを本拠地とするサッカークラブJVW FCで練習を開始しているが、今季の登録期限は過ぎているため、来年までプレーすることはできない。

 セメンヤはクラブのウェブサイトで、「この新しい旅を楽しみにしている。チームからすでに受けている愛情と支援に感謝している」とコメントした。

 南アフリカ女子代表の主将で、名前のイニシャルが同クラブの名称になっているジャニーン・ヴァン・ウィック(Janine van Wyk)は、AFPの取材に対して、「キャスターがチームに加入してくれたことに、わくわくしている」と語った。

 陸上界では元ジャマイカのスーパースターであるウサイン・ボルト(Usain Bolt)氏が、現役引退後にサッカー選手を目指してオーストラリアAリーグのセントラルコースト・マリナーズ(Central Coast Mariners FC)でトライアルを受けたが、契約には至らなかった。

 国際陸上競技連盟(IAAF)は、セメンヤのように男性ホルモン値が高い選手は、競技で有利になっていると主張。今年に入ってこれらの女子選手に対し、体内のテストステロン値を下げる治療を受けなければ、400メートルから1マイル(約1600メートル)の種目に出場することを禁止する規則を設けた。

 セメンヤはこのルールを拒否し、法廷闘争に勝利して800メートルに出場できることになった。しかし、スイスの連邦裁判所が規則の適用を一時停止する仮処分を撤回したため、カタールで開催される世界陸上の欠場を余儀なくされた。(c)AFP