【9月3日 AFP】米国反ドーピング機関(USADA)は2日、陸上男子短距離のスター選手であるクリスチャン・コールマン(Christian Coleman、米国)が「居場所情報」を申告せずに薬物検査を逃れていたとされる嫌疑について、不問に付した。これで同選手は、第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)への出場が可能になった。

 男子100メートルで今季世界最高タイムの9秒81を記録し、世界陸上で同種目の優勝候補に挙げられているコールマンは、ここ12か月間で薬物検査を3度受け損ねたとして、2年間の出場停止処分を科される可能性に直面していた。

 しかしながらUSADAはコメント文で、「12か月という期間の計算方法を示した世界反ドーピング機関(WADA)のガイドラインに従い、この事案は取り下げられた」と述べた。

 USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は、「すべてのケースにおいて、反ドーピングの国際ルールへの一貫性ある適用が不可欠である」「今回のコールマン氏に適用した規則は、USADAが他のいかなる国際レベルのアスリートにも適用すべきとの理解に基づくものである」との見解を示した。

「規則に基づき、アスリートへの公平性を最優先に全てのケースにアプローチし、透明性と一貫性を保ちながら、反ドーピングシステムに対する選手の信頼と支援を構築していく必要がある」

 USADAによると、コールマンが最初に「居場所情報の申告を怠った」とみなされたのは、昨年6月6日とされている。さらに今年1月16日と4月26日にも、検査官が検査をしようとしたところ、同選手が正確な居場所を申告していなかったことが発覚したという。

 しなしながら、コールマンは「検査及びドーピング調査に関する国際基準(ISTI)」のガイドラインを引き合いに、最初に検査を受けられなかったのは2018年4月1日にさかのぼる必要があり、指摘された合計3度の違反は12か月の期間には当てはまらないと訴えていた。

 今後の混乱を避けるため、規則は2021年をめどに改定される予定であるという。

 男子100メートルでは今季2位の9秒85も記録しているコールマンは、今月下旬からカタールで行われる世界陸上では同種目に加え、200メートルと4×100メートルリレーにも出場する予定となっている。(c)AFP