【9月6日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するフェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)は5日、アントワーヌ・ユベール(Anthoine Hubert)選手が事故で死亡したことを受け、レースが退屈になるリスクがあっても安全を最優先にするべきだと主張した。

 フェラーリの地元で開催される19F1第14戦イタリアGP(Italian Grand Prix)は、「スピードの殿堂(Temple of Speed)」と称されるモンツァ・サーキット(Monza Circuit)が舞台となる。開幕を控えベッテルは報道陣に対し、ベルギーで行われたフォーミュラ2(F2、FIA F2選手権)のクラッシュでユベール選手が命を落としたことに言及し、F1が安全について考慮するよう求めた。

「ここ数年はずっと警鐘が鳴っていた。(2014年に)ジュール(・ビアンキ<Jules Bianchi>)が亡くなって今度はアントワーヌだ。これはまだやるべきことがあることを示している。たとえ安全に配慮しすぎてつまらないと考える人がいてもやらなければならない」

 レースに内在する危険性を美化する過去のストーリーから距離を取るベッテルは、ドライバーは現代の剣闘士で、危険がつきものだという考え方をやめるときがきたと話す。

「土曜日(7日)も日曜日(8日)もサーキットに来てレースをする。ある程度の危険はモータースポーツの一部だし、スリルの一種だ」「だがもっと良くできることがまだあると思うし、改善しなければならいこと、取り組まなければならないことがある。F1世界選手権が退屈なものになっても構わない」

 一方、通算4度年間王者に輝いているベッテルは、ユベール選手が命を落としたスパ・フランコルシャン(Spa-Francorchamps)やモンツァのような伝統を持つサーキットには威厳があると認めている。

 高速事故が多発し、死亡事故でレースが中止された歴史を持つスパ・フランコルシャンでまた走行したいと考えているベッテルは、「自分はスパでレースを続けてほしいと願うファンだ。素晴らしいトラックで偉大な歴史がある。コーナーが数多くありとてもユニークだ」とコメント。「だが事故が起きた以上、注視しなければならないのは当然だし、結論を出す前に正確に何が起きたかを理解するために時間をかけなければならない」 (c)AFP