持久戦か軍隊派遣か、香港デモ鎮静化に中国政府が取るべき戦略は?
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■圧力と威嚇の強化
中央政府は、圧力と威嚇を使った戦略を強めることもできる。これまでにも、抗議活動は「テロの表れ」だと批判しており、国営メディアも「終わりは近づいている」と警告を発している。
警察がデモ隊に私服警官を潜り込ませたことを認めたことで、デモ参加者の間に恐れと疑念が生まれた。香港の空港で起きた2人の本土出身者がひもで縛られ殴られた事件は、このような恐れや疑念が暴力に拍車を掛けた結果だと言える。
一方、犯罪組織「三合会(Triad)」の構成員らによるものとみられる、デモ隊への襲撃もあった。また、中央政府はデモを支持する企業に対して取り締まりを行っている。
■軍隊の派遣
中央政府にとって最もリスクが高い戦略は、軍隊を派遣することだろう。香港には中国人民解放軍(PLA)の数千の部隊が駐留している。香港の基本法には、「公共の秩序を保つ」ため、香港政府の要請に応じて部隊の派遣を認めると定められている。国家の安全を脅かす「戦争」や「混乱」が起きた場合には、中央政府は香港の基本法を一時的に無効にすることもできる。
軍隊派遣という最終手段は香港経済に打撃を与えるばかりか、中国共産党に対し、国際社会から批判が上がりかねない。
だが、台湾を拠点に活動する台湾全球研究中心(Global Taiwan Institute)の上級研究員、J.マイケル・コール(Michael Cole)氏は、「香港で続く問題が中国のメンツと安定を脅かしていると中央政府が判断すれば、こうした考えは弱まっていくだろう」と指摘している。(c)AFP