【9月4日 AFP】3日に行われた全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2019)の男子シングルス準々決勝でグリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov、ブルガリア)に敗れた大会第3シードのロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が、落胆を隠しきれない様子で「良いプレーができている感覚はあった」と話した。

 全米オープン優勝5回のフェデラーは、この日の準々決勝に6-3、4-6、6-3、4-6、2-6で敗戦。セットカウント2-1とリードしたところから逆転を許し、過去7戦して一度も負けたことがなかったディミトロフに初黒星を喫するとともに、2008年以来となる大会制覇は今年もお預けとなった。

 最終セットの前にはメディカルタイムアウトを要請していったんコートを離れ、首の付け根付近の治療を受ける場面もあった。それでもフェデラーは負傷の影響を否定し、「それはずっと感じているもので、プレーできる痛みだった。勝てなかったのは自分の力不足」とコメントした。

「今はグリゴールの時間だ。私の時間ではない」「仕方のないことだ。全力は尽くした。試合を諦めるようなひどいけがでは全くなかった。グリゴールにこちらを退ける力があっただけの話。自分も持っているもので戦った」

 試合はフェデラーが第4セットの第10ゲームで5回のブレークポイントをしのがれ、最終セットに突入すると、セット開始からいきなりディミトロフの2ブレークアップとなった時点で事実上の勝負ありだった。フェデラーは「自分がリードしている時間帯も多くあったし、第4セットでは逆転のチャンスもあった。そのセットの出だしがまずかった。第5セットもね。そこで遅れを取ったのが厳しかった」と話している。

「終わってしまったことに、とにかくがっかりしている。大会序盤はつまずいた試合もあったが、その後は良いプレーができている確かな感覚があったからね」「いろいろな意味でチャンスを逃した。リードしていたし、突破の可能性があって、これが終われば2日休めた。見通しは明るかった。しかし、負けを受け入れなくてはいけない。これもテニスの一部だ」

 フェデラーは7月のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)で、自身のサービスゲームで優勝まであと2ポイントという状況からノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)に逆転を許し、キャリアで最も手痛い敗戦を喫した。

 それでも本人には、そのときのショックは乗り越えたという確信があり、「人々が深読みするのは分かる。そのあたりのことを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、それが今夜の敗因ということは絶対にない。準備は整っていたし、全力を尽くした。それでも届かなかったということだ」と、試合への影響をきっぱり否定した。

 グランドスラム最多20勝の記録を更新する機会はまた訪れると思うかという質問には、「水晶玉を持っているわけではないからね」と答え、「それは誰にも分からない。もちろん、そうあってほしい。これでも今季は明るいシーズンだと思っているんだ。今は落胆しているが、いずれ元気に立ち直れるはずだ」と話している。

 ジョコビッチとラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)、ダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)と共に、すでに自身17回目のATPワールドツアー・ファイナルズ(ATP World Tour Finals 2019)出場を決めているフェデラーだが、今のところ、シーズン終盤戦の出場大会を絞り込む考えは持っていない。

「レーバー・カップ(Laver Cup 2019)と上海マスターズ(2019 Shanghai Rolex Masters)、スイス・インドア(Swiss Indoors Basel 2019)に出て、場合によってはパリ・マスターズ(Rolex Paris Masters 2019)をはさみ、ツアー・ファイナルズ。今のところ、そういう予定だ」

「チームに別の考えがあるかは分からない。今はちょっとした休養に入れるのがうれしい。それから練習を再開し、もう一度状況を検討して、そこから考えていきたい」 (c)AFP/Martyn WOOD