【9月3日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するルノー(Renault)のダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)は、先月31日に行われたフォーミュラ2(F2、FIA F2選手権)でアントワーヌ・ユベール(Anthoine Hubert)選手(22)が死亡する事故が発生したことで、一時はF1第13戦ベルギーGP(Belgian Grand Prix 2019)の棄権を考えたと明かした。

 F1グランプリ開催中の週末にドライバーが死亡するのは、1994年のサンマリノGP(San Marino One Grand Prix)予選でアイルトン・セナ(Ayrton Senna)氏とローランド・ラッツェンバーガー(Roland Ratzenberger)氏が命を落として以降、これが初めてのケースとなった。

 フランス人ドライバーの故ジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)選手は、2014年の日本GP(Japan Grand Prix 2014)決勝で事故に遭遇した後、2015年7月に亡くなっている。

 ビアンキ選手の友人で、同選手の事故が起きた当日も鈴鹿でレースに臨んでいたオーストラリア人ドライバーのリカルドは、起きたことを考えると本当にレースしたいのか自問したと明かした。

 1日の決勝レースで14位に終わったリカルドは、「本当にレースする価値があるのだろうかと自問した」「結局のところ、それは単純な質問でありながら、とても率直なものでもあった」「レースは僕らの仕事だ。それが職業であり、自分たちの人生だけれど、ただサーキットを周回するだけのことでもある」と語った。

 決勝当日の朝に1分間の黙とうをささげた際、リカルドはユベールの家族を見て勇気をもらったといい、「彼らの立場は想像もできない。彼らは僕たちの誰よりも、はるかに気丈だと感じた」と語った。

 国際自動車連盟(FIA)が安全基準の改善に加え、ドライバーを保護するより良い対策の追求を永遠に続けていくと表明する中、ベルギー当局は2日、ユベールが死亡した重大事故に関して、過失致死容疑を視野に捜査を開始した。(c)AFP