【9月2日 AFP】オーストラリア西部パース(Perth)で先月31日、2人乗り飛行機に搭乗していた教官が飛行中に気を失い、初めての飛行訓練に挑戦していた男性が、一人で機体を着陸させることを余儀なくされたものの無事成功した。

 素晴らしい着陸を成功させたのは年齢が30歳ほどというマックス・シルベスター(Max Sylvester)さん。地上から妻と3人の子どもが見守る中、航空管制官からの指示に従い、無事にセスナ(Cessna)機をジャンダコット(Jandakot)空港に着陸させた。

 シルベスターさんは、自分の肩にもたれかかった指導員の意識が戻らないため、高度1900メートルからパニック状態で救難信号を発信。

 録音された交信では、パースの管制官が差し迫った様子で「どうやって飛行機を操縦するか分かるか」と尋ねると、シルベスターさんは「今回が初めての訓練だ」と答え、自身で飛行機を着陸させたことは一度もないと付け加えた。

 目の前にある任務の重大さを認識した管制官は、「まず第一にすべきことは、確実に両翼を水平に保つことだ」と応答。シルベスターさんに高度を維持し、土地勘を得て気を落ち着かせるため、滑走路の上空を一度通過してみるよう指示を出した。

 さらに管制官はシルベスターさんに、「本当に緊張する状況だということは分かっている。だが君は本当にうまくやっている」「君はすごいことをやろうとしているし、君が地上に着陸するのをわれわれも助けるからな」と声を掛けた。

 約20分後に飛行機は、心臓が止まるほど機体を揺らしながら無事着陸。

 管制官は「やったな、友よ!」と叫び「よくやった。すごかった!」と続けた。

 着陸後、教官は病院に搬送された。容体は安定しているという。

 シルベスターさんは、教官の勤務先である飛行訓練学校「エア・オーストラリア・インターナショナル(Air Australia International)」から「初単独飛行証明書」を授与された。(c)AFP